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ゆっくりと、僕様の体から光が消えるとともに、周囲がしっかりとした現実になっていることに気付いた。
「……」
訂正。
ぜーんぜんしっかりとしてない。
なぜなら、目の前で変な着物を来た女の人が、小さいワンピースの女の子を、大振りの日本刀でバラバラにしていたからだ。
滅多刺しにした後、滅多切りにして、ブッ刺してから、ブツ切りにしたようだ。
様々な飛び散り方をした血液や、女の子の中身。
何故か首から上だけが無事で、苦痛を叫んだまま固まっている。
「やったあ!! 召喚成功!!」
なにを喜んでいるんだ、この人は。
とりあえず。
逃げる!!
僕様は後ろを向いて逃げた。
生活感に溢れる和室の引き戸を開けて。
は?
生活感に溢れる和室だと?
廊下も和式。
茶色い木の板の床に、土の壁、白熱灯。
新聞紙やよくわからない箱などが転がっており、なんだか一昔前の民家のようだ。
別の理の世界がどんなものか想像していたわけではないが、少なくとも、こればかりは想像の範囲外だろう。
とにかく僕様はこの民家からの脱出を図った。
走る。
凄く走る。
ちょっとこの民家大きすぎやしないか。
軽く500mぐらいは走ったつもりだが、出口はおろか、窓すらない。
いい加減足が笑い始めたので、僕様は走るのをやめ、障子の一室に逃げ込んだ。
そして、その部屋の大きさに驚いた。
凄く大きい。
そこは体育館のような広さと高さの堂造りになっていた。
尚も窓はなく、あるのは木の床と奥にある祭壇だ。
祭壇の近くは畳になっており、近づくまでもなくここが静櫃な空間であることが理解できた。
ただ、その祭壇に祀られているものが、異様だった。
「ハァハァ……なんだ……これ……!?」
そこに祀られていたのは、巨大なロボットだったのだ。
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