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「イグドラシルよ」
「イグドラシル……」
「古代の遺跡から発掘された機魔よ。
文献には、異世界から召喚された者のみが扱えると書かれていたわ」
「きま……?」
「魔力で動く機械のことよ。
これが、私が君を召喚した理由」
「なるほど、だから『機魔』……あ」
疲れていたせいで反応が遅れてしまったのは仕方ないが。
「……でたな人殺し」
いつの間にか、僕様の隣には先程の女の人がいた。
「待たせたわね。ちょっとシャワーを浴びて着替えてきたものだから」
もう血はついていないし、日本刀も持っていないが、間違いなくこの人だ。
「あれ? もう逃げないのかしら?」
「……別に。逃げたって無駄だろうしね」
「物わかりが良くて助かるわ。
でも、人殺しを前にその落ち着き様……フフフ」
「楽しそうだね」
「勿論よ」
「それで、僕様をどうするつもりなのかな?」
そこで、彼女はきょとんとして僕様を見た。
「僕様?」
「え?」
「あなた、自分のことを僕様って言うの?」
「そうだよ」
「ひょっとして、あなたのいた世界ではそれがスタンダードだったりするの?」
「別に」
「じゃあ、なんで
「なんででもいいだろ」
「……おっしゃる通りで」
そう言って、彼女はまた笑った。
「とにかく、貴方の選べる選択肢は3つよ」
「え?」
「いち。このロボットに乗って私のために戦う。
に。可愛いから私の性奴隷になりつつこのロボットに乗って私のために戦う。
さん。無理矢理洗脳されて、このロボットに乗って私のために戦う」
僕様は彼女を見た。
割と僕様好みだった。
「2かな……」
「え!?」
「でも待てよ……それだと僕様のプライドがなあ……」
「わくわく」
「逆はダメ?」
「え?」
「君のために戦ってあげるから、君が僕様の奴隷になるんだよ」
「……うーん」
きっとこの人は、僕様を必要としている。
なら僕様はその足元を見るだけだ。
「……ま、そういうプレイも悪くないし……穏便に事も進むかしら……」
「ね? どう?」
「OKよ……でもあなた、妙に物わかりが良くないかしら?」
「うん、まあ」
割とやけくそになってるよね、と、口には出さずに思った。
その次の瞬間、けたたましいサイレンが鳴り響いた。
※画像はアカネ
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