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眩しいと思ったのは一瞬で、ロボットのカメラはすぐに明順応した。
どうやら地上に出たようで、足元には広大な森林が広がっている。
真下遠くに、出撃した穴が閉じていくのが見えた。
無意識に、僕様は背中のジェットエンジンを作動させた。
それにより、ロボット……いや、イグドラシルか。
イグドラシルは落下を免れる。
薄暗い堂の中ではわからなかったイグドラシルの詳細な外見が、真後ろより見下ろしているカメラの映像から伝わってくる。
機体の色は白。
至ってシンプルな人型だ。
武装も腰にある柄だけの剣(多分ビーム剣)のみ。
その割には大きなジェットエンジンが目立つが、僕様はシンプルなイグドラシルが気に入った。
『乗り心地はどうかしら?』
後ろから、線の細い黒色の機体が現れた。
通信回線の声と手を振るタイミングで、先程の女の人が乗っているのだと理解する。
『乗ってる感じはしないよ』
『それもそうよね……うわ、凄い魔力』
『魔力?』
『そうよ。機魔は操縦者の魔力で動いているの。
機体に標示されているのがその機体の魔力。君の魔力は視界の右上に標示されているはずよ。
なくなったら機体のバリアもなくなるっていうかぶっちゃけパイロットが死ぬから注意してね。
あ、魔力はさすがにわかるでしょ? それだけ大きな魔力をもっているんだもの』
僕様の魔力が26850、彼女の魔力が4087なのは理解したが(数値は多少上下している)、魔力自体の意味がよくわからない。
『……知らないね』
『……ひょっとして、魔力の概念の無い世界から来ちゃった……?』
『そうだよ』
『そうなんだ……じゃあ何の努力もせずにその魔力を……うわぁ……やっぱり召喚って凄い……』
『おーい』
『え!?』
『で、僕様はどうすればいいのさ?』
『あ、ごめんごめん。その魔力なんだけど、半日ぐらい機魔に乗らなかったら自然と回復するから、半分くらいまでは適当に使っても大丈夫だからね』
『了解』
『じゃあ着いてきて』
『え? 敵襲じゃないの?』
『敵かどうかはこれから判断するわ。
とりあえず、3km先に人工的な魔力を察知しただけだから、実際に確認しないと何とも言えないわね』
『あ、そうなんだ……』
とりあえず戦わずに済むことを祈って、先を行く機体を追った。
※画像はイグドラシル
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