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ゲームの様子を思い浮かべたらしい3人が黙る。そう、一巡すると最後の人が行った先には誰もいないはずなのだ。
誰かがゴクリ、とつばを飲み込んだ。
「でもね、そのゲームは滞りなく進んだんだよ。誰かが二つ分進むこともなく…」
恵子が隣のミチルにしがみつく。ふふふ、この後からじわってくる怖さがわかったか!
「救出されてからそれに気付いた隊長さんは言ったんだって」
「きっと、死んだあいつが霊になって俺たちを助けてくれたんだ」と。
そう、このゲームは本来5人居なければ続くはずがないものだった。続かなければこのグループは凍死していたかもしれない。
それが続いたのは5人目の誰かのおかげだった。…ゾッとするけど怖いだけじゃないこの話が私は結構好きだ。
ちょっといい話にみんなが息を吐く。だがここは怖く締めなきゃいけないだろうからちょっとアレンジ!
「でも…私たちの場合…5人目は誰なんだろうね…」
意識して低い声で言ってそっとペンライトのスイッチを切る。
これにはゾゾッときたらしい3人がひっ、と息を詰める。
「やだ!」
「麻衣ってば!怖い声出さないでよ!てか怖いこと言わないでよ!」
効果は絶大だったらしい。いや怪いこと言ってなんで責められにゃあかんのだ!
とは思いつつ一応謝ってミチルを促す。
「ごめんごめん。最後、ミチルだよ」
そう促すとミチルは少し渋った。怖くなったらしい。ちょっとやりすぎたかな…
反省しつつ残り一つとなったミチルのライトを見ていると決心がついたらしいミチルが口を開いた。
「…じゃあ、旧校舎の話をするね…」
旧校舎っつーとあの工事途中で止まってるヤツか。ミチル曰くどうやらあの建物はいわくつきらしい。
頻繁に起こる火事や事故。生徒の死、自殺した先生。子供の死体。
相次ぐ作業員の病気、事故、機械の故障…
それで作業ができなくて壊しかけたまま工事を中断したという。…なるほど、危ないと思ってはいたがまさかそんな理由が。
「それと先輩が夜ね、旧校舎側の道を通ったら…」
窓からこちらを見下ろす人影が…。怖ーーーー!!
ミチルはそこでペンライトを消した。陽が差し込まない教室は真っ暗になる。外で木が風に揺れる音がやけに大きく聞こえる。
最初に恵子が「いち」と言った。「…に」亜里沙がそれに続く。
「…さん」
私も続いて最後、ミチルが「し」と言った。みんなちょっとびくびくしている。
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