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まあ、そうそう5人目なんて出るはずが…
「ご」
直後、亜里沙が悲鳴を上げて私の首にしがみついた。後の二人もキャーキャー言っている。
私はむしろとっさに言葉が出ない状況に陥って…亜里沙さん絞まってます絞まってます!!
パチ、とスイッチを入れる音の後に瞬きながら蛍光灯が点く。…電気を消す幽霊は聞いたことあるけどつける幽霊は聞いたことないなぁ。
案の定そこに居たのは黒ずくめの多分生きた人間だった。これで黒いサングラスしてたら怪しいことこの上ないな。
…黙って見てても埒があかないので質問。
「今「ご」って言ったのあなたですか?」
「そう。…悪かった?」
びっくりしました。てかこの悲鳴に全く動じず謝りもしないとは。いや別に悪いわけじゃないけどなんか謝っちゃわない?
「なーんだぁ!腰が抜けるかと思ったあ」
「それは失礼」
恵子の言葉に謝る…謝ってるんだよね?…黒ずくめさん。
声がしたからつい、とな。つい明かりをつけるとか、つい呼びかけるとかじゃなくってつい混ざってみた、と。意外とお茶目さんなのか…?
あまり悪びれてないように見える黒ずくめさん。ビックリしてて気付かなかったけどすっごくお顔が整っていらっしゃる。なんか気難しそうだけど。
そんな黒ずくめさんの顔が気に入ったらしく恵子が黄色い声をあげた。
「そんなぁ!いいんですぅ。転校生ですか?」
語尾にハートがついている。ちょ、いきなり現れた見るからに怪しい美人に何を…!
あれ、美人って女の人しか指さないんだっけ。…美人って言葉がぴったりな美人さんだし、まぁいいか。
とにかく転校生じゃないだろー…制服じゃないし、転校生だったらこんな時間に一人で歩いてるわけないし…
「そんなものかな」
あ、さいですか。ふぅん今年で17歳。わー、一つ年上だー。
つーかお兄さんめっちゃ曖昧な表現ですね。普通そんな言い方しませんて。
しっかし恵子とミチルのはしゃぎようはすごい。可愛いなぁと思わなくはないけれどいつか顔だけの男に騙されないか心配だよ私は…
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