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「あたしたち怪談してたんです」
「ふぅん…仲間に入れてもらえるかな」
わ、意外。そーゆーのに興味あるようには見えないのに…というか男子ってあんまりそういうの好まないようなイメージがあったかな。
というか今一周したのにまたやるんかな。うん、やる気だねミチル…。
彼女は美人なお兄さんに椅子を勧めて更には名前を訊いていた。ふむ、渋谷さんね。東京都渋谷区の…ん?今なんかデジャヴを感じたような…
「渋谷先輩も怪談好きなんですか?」
「……まぁ」
黒ずくめのお兄さん改め渋谷さんの微笑みに歓声があがる。楽しそうだなぁ…。つか「まぁ」って。ホント曖昧なお人だなー。
というかなんかこの人近寄りがたいってか…冷たい印象を受けるなぁ。笑ってるのに。
あんまり作り笑いがうまくなくて愛想もそんなに良くないし、逆に危険ではないかも。
しっかしなんでそんなに人付き合いが好きそーじゃないこの人がわざわざ…?なんか目的でもあんのかし。
考えてみてもわからないので直接訊いてみる。
「えーと、渋谷さん?何しにココに来たんですか?」
「ちょっと用事があって」
「…はぁ、なら私たちは帰りますんで。用事すんだら渋谷さんも早く帰った方がいいですよ。日、暮れますし」
その用事の内容訊いてるんデスよ!人に聞かれたらやましいことでもする気ですかコノヤロー。
そう思いつつも巻き込まれるのはゴメンなので逃げることに。ミチルたちが文句言ってるけど気にしな…
「麻衣ったら!気にしないでくださいねセンパイ。あっ、用事ってなんですか?あたしたちも手伝いますー!」
あっ、コラ…!なんかやばい事だったらどーすんの!
そんな私の心配をよそに渋谷さんはきっぱり断ってくれました。ほっ…
「いや、テープのダビングだから」
……誰も居ない教室で何をダビングする気ですか…!?
てかこの教室にそんな機械ありませんよ!?まさか持ってきたの!?…ますます怪しいです美人のお兄さん。
そしていつの間にか怪談を一緒にする約束をしてるミチルたち…もーちょっと警戒心を持とうよ!!
関わり合いになりたくないよう…とか思いながらも結局は流されてしまう私だった。
何にもありませんよーに!!
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