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僕には唯一と言っていい程信頼している人が“いた”。
…そうか。彼を説明する為には最初から話さなくてはならないか。
僕は産まれて間もない頃、親に捨てられた。
いや、実際覚えているわけではないが、状況が状況だけにそう思わざるをえなかった。
きっと両親にとって僕はいらない子だったのだろう。
その日も公園には冷たい雨が降っていた。
僕は毛布にも包まれていない産まれたままの体を震えさせ、縮こまっていると、突然雨が消え、冷たさが消えた。
次に感じたのは腕に包まれた感覚。
それは何とも暖かく、優しい気持ちにさせてくれた。
―――そう。僕は彼に拾われたのだ。
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