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『『頂きますっ』』
白い壁、白いテーブル。
そこに並べられたたくさんの料理。
そして食卓を囲む、子供達。
『皆、おかわりたくさんあるからね~』
その光景を見ながら、私は幸せに浸っていた。
―――あの夏の出来事から十年。
私と竜紀くんは結婚し、子宝にも恵まれた。
最初は女の子だと思っていた子供は実は男の子で。
…服とかまで女の子用に買い揃えていた私達は、それをそのまま子供に着せる事にした。
小さな子供なら性別関係なしに着れるかなと思ったから。
そして一緒に暮らし始めたのだけど…
『裕里、この料理もできたよ』
『ありがと、麻菜』
――私達はルームシェアをしている。
メンバーはもちろん、
私と麻菜と有紀と佐織。
…そして、それぞれの旦那様達。
みんな結婚してから一緒に暮らし始めたのだ。
『あ~早く准くん帰って来ないかな~』
料理を運びながらそう呟く有紀。
准、雅樹、一也…
それぞれ同じ会社に勤め、帰りは遅かった。
その為、いつも夕ご飯は私達と私達の子供達…そして。
『あ、竜紀くん!
ご飯できてるよ~』
『…裕里さん。
もうすぐ仕事終わるんで、すぐ行きます』
―――竜紀の皆でとっていた。
竜紀は頭の良さを生かして推理小説家になり、書斎で日々執筆に励んでいる。
だから仕事中とはいえ、いつも一緒にいれる訳で…
『…あ~ぁ、裕里はいいなぁ。
いつも旦那さんと一緒にいられて。
あたしも雅樹くんに早く会いたくなってきた…』
――いつもはあまり愚痴らない佐織からもこんな呟きが漏れてしまう。
『も、もうすぐ皆帰ってくるじゃん?ね?』
私は緩んでいた顔を慌てて戻し、淋しがる皆を宥める。
もう子供までいるというのに、皆今だにラブラブだ。
…いや、私もなんだけど――ね。
竜紀くんが大好き。
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