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浪士は動こうとするが、全身が何かにおさまえられているようで動けない。
藤堂が静かに口を開いた。
「……まず、その子を放してくれない?」
「え…………なっ!?」
藤堂がそう言って手を浪士に翳すと同時に、浪士の腕が勝手に動いた。
少女を抱えていた腕が、外側に動かされる。
「なっ、なんだこりゃぁあぁぁあ!?」
浪士が絶叫する。
と、完全に浪士の腕が少女から離れた。
浪士は両腕を一直線に広げた姿になる。
藤堂が少女に手を差し伸べた。
「大丈夫?歩ける?」
「……は、はい……」
少女は藤堂の手をとり、力無く立ち上がる。
「ちょっとあっち行っててね。すぐ終わるからさ」
藤堂は沖田の方を指差した。
「総司、よろしく」
「わかりました」
少女が沖田の方に行ったのを確認すると、藤堂は動けないままの浪士に目線を戻した。
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