序章

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迷い家(マヨイガ) 山奥深くに迷い込んだ人が偶然たどり着くという不思議な屋敷。 その屋敷の縁側(エンガワ)で、夜風に涼む2つの影。 1人は縁側から足を投げ出し、片手におちょこを持っている。 もう1人は、きっちりとした正座で背筋をピンと伸ばしていた。 「う~ん…いい月ねぇ~」 そう言って手に持っていたおちょこを口に運んだのは、屋敷の主であり、隙間を操る妖怪でもある八雲 紫(ヤクモ ユカリ)である。 「紫様 季節は夏に近付いているとは言え、夜はまだ寒いです! お部屋に戻ってくださいっ」 姿勢を崩さず、部屋に戻るよう抗議をしているのは、八雲紫の式神であり、九つの尾を持つ八雲 藍(ヤクモ ラン)である。
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