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気が付くと空が闇に覆われて月や星が輝かしい光を放っていた。
それを見ながら俺は涙ぐんでいた。
「ひろ?」
「俺には希望の光が届くことはない。父に決められたルートをただ進むだけ」
「ひろ…」
「自分の好きな道すら選べない。自分の大切な人とも共には歩めない」
「そんなに辛いなら2人でどこかに逃げて暮らしてみる?」
「ゆう」
「冗談だよ。ひろは逃げたりしない。ひろは強い人だって僕は知ってるから」
「なぁ、ゆう。どうして…」
「僕等は双子なんだよ」
「…………」
「大翔は僕の大切な世界で1人しかいないお兄さんなんだから」
「俺、悠斗がいなくても生きていけるように強くなる。だから、この一週間だけはゆうとの時間を大切にしたい」
「うん」
そして、俺達はこの一週間を一生忘れられないくらい楽しんだ。
絶対に記憶から消えないように。
そして、とうとう別れの日が来てしまった。
「久しぶりです、お父さん」
「大きくなったな、悠斗」
「おかげさまで」
「例の話しだが」
「分かってます」
「ゆう?」
「ごめんね、ひろ。本当はね、ひろと会う代わりに留学することが条件だったんだ」
「どこに?」
「言えない。ひろともう会えないように留学するんだから」
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