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水面に向かう泡のように、漆黒の中を飛んでいく。頬を打つ風がすごく気持ち良い。
「あかり」
満月に促されるような声を掛けられて、私はようやく自分がぎゅっと目を閉じていたことに気付いた。
それをそろそろと開いた私は、眼下に広がる光景に感嘆の声を漏らした。
「綺麗……」
地面はすでに彼方へ消え去って、街の明かりが視界一面を覆っていた。それはまるで光の花畑のようで、とても幻想的だった。
そしてなお、見上げることしか出来なかった空へと近付いていっている。
私の興奮が、繋がれている手を通して満月に伝わってしまいそうだ。掌がすごく熱い。心臓がばくばくうるさい。
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