2.月光列車

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 ーーあれっ、ちょっと待って。  そのことに気付いた私はうろたえたように、 「み、満月」 「どうしたの?」 「月に行くってことは宇宙に行くんだよね? 私達息とか大丈夫なの?」  ああ、と今更ながらに満月はさほど気にしていない様子でさらりと言い放つ。 「大丈夫な訳ないだろう」 「ええっ」  空を飛ぶとか常識はずれなことをしておきながら大丈夫じゃないって!  さあっと血の気が引いていくのを感じて、思わず満月の手を強く握ってしまう。  情けない私の顔を見た満月が小さく吹き出した。 「このまま行くわけじゃないから」 「えっ?」 「ここならいいかな」  上昇していた私達は、満月の一言と共にぴたっと止まった。 「なに?」 「いいから見てな、そろそろ来るから」  口元にいたずらっぽい笑みを乗せて片目をつむった満月に、知らされない私は軽く眉をひそめる。
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