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目だけで満月を窺うと、驚いた様子で私を見つめていた。
「……何よ」
頬の熱が取れないことも相まって、私は不機嫌そうな声で尋ねる。
すると、閉じたままだった満月の口が僅かに開いた。
「あはははっ」
開かれた口から飛び出したのは笑い声。何と満月は笑い始めたのだ、ご丁寧にお腹まで抱えて。
「そこまで笑える要素あった!? しかもお腹も抱えちゃって……失礼じゃない!?」
初めこそ呆気とられていた私だったけど、我に返ると満月に抗議する。
それでも尚笑い続ける満月に、私はたまらず噛みついた。
「満月ッ!」
若干本気で睨みつけると、満月はぴたりと笑うのを止めて私をまじまじと見てきた。
「どうしたの?」
「いや、やっと名前を呼んでくれたと思って」
満月にそう言われて、私もようやくその事実に気付いた。
自然と口から出ていたのだ。
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