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「あら♪それは嬉しいことを言ってくれるじゃない。」
先ほどまでの危ない表情からころっと変わり、今はとても美しい笑みを見せる。
「ところであなたの名前は?」
「ふぇ?」
フローナの顔にみとれていたセインは、なんとも恥ずかしい声をあげてしまった。
「フフフ。君、面白い子ね。」
フローナの笑顔にみとれそうになったセインは、頭を左右にブンブンと振り空想の世界から抜けだす。
「さて、話がそれちゃったわね。で、あなたのお名前は?」
「セインです。セイン・アルベルトと言います。」
セインは立ち上がり、フローナに深くお辞儀する。
「あらあら♪かしこまっちゃって♪」
フローナは手を口元の辺りにもってきて、またクスクスと笑い出した。
そして茶色い背中辺りまで伸びた髪をなびかせ、セインの顔を見て言った。
「セイン君はなんであそこに倒れていたの?」
その言葉を聞いたセインはとても困ってしまった。
なぜなら彼自身、何故あそこに倒れていたのかすらわからないのだ。
いや、それ以前にここがどこかだか知るよしもない……。
っていうか今わかったけど僕…!
「あのフローナさん…。」
「ん?どうしたの?」僕ははっきりした事実をフローナさんに分かりやすく、簡単に伝えた。
「どうやら僕…自分の名前以外…記憶がないみたいです…。」
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