第1章 セイン・アルベルト

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「あら♪それは嬉しいことを言ってくれるじゃない。」 先ほどまでの危ない表情からころっと変わり、今はとても美しい笑みを見せる。 「ところであなたの名前は?」 「ふぇ?」 フローナの顔にみとれていたセインは、なんとも恥ずかしい声をあげてしまった。 「フフフ。君、面白い子ね。」 フローナの笑顔にみとれそうになったセインは、頭を左右にブンブンと振り空想の世界から抜けだす。 「さて、話がそれちゃったわね。で、あなたのお名前は?」 「セインです。セイン・アルベルトと言います。」 セインは立ち上がり、フローナに深くお辞儀する。 「あらあら♪かしこまっちゃって♪」 フローナは手を口元の辺りにもってきて、またクスクスと笑い出した。 そして茶色い背中辺りまで伸びた髪をなびかせ、セインの顔を見て言った。 「セイン君はなんであそこに倒れていたの?」 その言葉を聞いたセインはとても困ってしまった。 なぜなら彼自身、何故あそこに倒れていたのかすらわからないのだ。 いや、それ以前にここがどこかだか知るよしもない……。 っていうか今わかったけど僕…! 「あのフローナさん…。」 「ん?どうしたの?」僕ははっきりした事実をフローナさんに分かりやすく、簡単に伝えた。 「どうやら僕…自分の名前以外…記憶がないみたいです…。」
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