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「かばでぃ!かばでぃかばでぃ!かばかばかばでぃ!」
夜。トイレ前。
何かちっこいのが残像が見えそうなほど高速の反復横飛びを駆使しつつそんなことを叫んでいた。
この異様な光景は端から見れば、いや見なくとも普通に気持ち悪い。キモい。
一応周りに人がいないことを確認したが誰もいない。どうやらちっこいのが叫んでいる対象は俺のようである。
「かば!かばかばでぃ!かばでぃーやっはぁ!」
キモい上にウザい。正直背負い投げをした後にマウントをとって殴りつけてやりたいくらい腹立たしい。やたら活き活きとした顔がその衝動をさらに助長させる。
だがしかし、俺は一応大学生という身の上である。こんなちっこいのに怒りをみせる年ではない。ましてや手をあげるなど以ての外である。
そもそも俺は用を足しにきたのであってこんなのに気を取られている場合ではない。早くしないと漏れてしまう。
無視してトイレに入「かばでぃかばでぃかばでぃかばでぃ!」入れない。鉄壁の防御である。
右によければ右へかばでぃ。左によければ左へかばでぃ。
さながら鏡と相対しているかのような錯覚を覚えるほどのかばかばしさに正直引いていた。もはやホラーの領域である。
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