第一話 そして伝説へ

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さらに困ったことに、よく見ると高速カバディに加えてなにやら両手も違う動作をしているではないか。 さながらヒゲダンスのように、地面と平行にした手を上下に……いや、まんまヒゲダンスであった。 このちっこい少女はヒゲダンスを知っている。知っているのである。 小学生でさえ八時(二十時)にはパソコンの前でカチカチやっている時代だというのに、この少女は八時(二十時)にはテレビの前に集合しているとでもいうのだろうか。 ありえなくもない話だ。なにせこんな夜中にカバカバやっている奴なのである。何をしていても不思議ではない。 リアリティを追求しすぎたくらいのヒゲダンスに関心を寄せていると、少女の熱烈な視線に気が付いた。 何か言いたそうな顔である。殴ってやり……いや、失礼。きらきらと目を輝かせてこちらを見ている。 見ただけでわかる……これは何かを期待するような視線だ。この少女は、俺に何かを伝えようとしている。 考えてもみてほしい。目の前でカバディカバディ言いながらヒゲダンスを見せつけてくる少女の灼熱の視線、その意味を。 明らかにツッコミ待ちである。
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