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「あの、まじすいませんした。自分、チョーシこいてました。まじすんません。ほんとごめんなさい。だからどうか殴るのだけはもう勘弁してください。ほんとすんませんした」
謝るわ謝るわ、堰を切ったように謝罪の言葉が少女の口から漏れ出てくる。
「あの、もうそろそろあたしの上からその、どいてくれないでしょうか」
「お前は何だ、ここで何してる」
「無視っすか。えーと、あたしはしがないプログラマーでございます」
「プログラマー?お前みたいなちっこいのが?」
まさか、いかにも馬鹿そうなこいつがパソコンの前でカチャカチャやっているはずがない。せいぜいカチャカチャするとしてもおままごとセットが関の山だろう。
「はい。プロのグラマラスな美女、略してプログラマぶふぅ!すいませんした」
殴られるとやはり痛いのか、顔を押さえてぐずっている。
「で、だ。お前が馬鹿なのはわかった。じゃあ何でこんな時間にここにいる」
「…………」
ぐずぐずしながら答えようとはしない。さすがにやりすぎたかもしれない。愉快……じゃなかった、少しだけ、ゴマの一粒くらい可哀想に思った俺は、質問を重ねる。
「親はどうした?どっか行ったのか?」
「いない……」
「いない……?」
「ばぁ!」
それからしばらく少女の断末魔が心地よい音色を奏でることになった。果てしなく近所迷惑だが仕方ない。殴りたかったんだもの。
「ちょっとちょっと!さっきから黙って叫んでれば、女の子を殴りまくるってどんな良識の持ち主ですか!それも一度ならず二度までも!」
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