一限目

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ある時は誰もいない廊下でなんの前触れもなく後ろから抱きつかれた。 「やめてよ!」 とっさにそう叫び、担任の左肩を思いきり押した。 すると担任は「やめてよ!やめてよ!」と私が言った言葉をオウム返しにして叫びながら、私の肩をバシバシと強い力で何度も叩いてきた。 とても、とても痛かった。 この人には、なにを言っても通じない。 「君、校章を安全ピンで留めてるだろ」 担任は私を叩く手を急にピタリと止め、真顔でそう言ってきた。 私の学校の校章は留め具がとても簡素で壊れやすい。だから校章の裏側の穴に安全ピンを通して着けている生徒が複数いた。 「駄目だろ、ちゃんと新しいのを購買で買わないと」 担任の右手は、校章が付いている私の左胸を触っていた。
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