一限目

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「ひ…」 気持ち悪さで声が出なかったが、すぐに左手で担任の右手を振り払おうとした。 その瞬間、壊れて飛び出している校章のピンの部分に手の甲の親指の付け根辺りを思いきり引っかけてしまった。 「……っ………」 鈍い痛みが走る。 「あーあ、ドジだなあ。しかも思ってた以上にペッタンコだし。でも柔らかさだけはいいかもしれないね」 眉を下げながら担任はそう言い、背を向けて職員室の方に歩いていった。 一人取り残された廊下、手の甲に血がジワジワと滲んでくる。 涙の代わりに血が伝う。思ったより傷は深いらしい。 我に返りスカートのポケットから取り出したティッシュで押さえるが、なかなか止まらない。 左胸に残る気持ち悪い感触もなくならなかった。 ―――「猫じゃないでしょ、これ」 保健教師が呆れたように言う。
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