一限目

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先に席に着いていたクラスメイト二人の後ろに座る。 「ねえ、『丸』書いてきてくれない?」 クラスメイトが指差した黒板。 それぞれのクラス名が書いてある枠内に出席確認のため、丸を付けるようになっている。 「嫌。先に来てたなら書いといてよ」 私はそう言って机に顔を伏せた。 クラスメイト二人はしつこく繰り返す。 「ねえねえ、お願いだからぁー」 「ほら、もう始まっちゃうよ」 どうしても自分で行く気がないクラスメイトに腹が立った。 進行役の教師の声が聞こえたので、私は黒板の方へと向かった。 「パシりに使っちゃったねぇー」 横を通る時に聞こえた雑音がとても耳障りだ。 中学の時の酷いイジメに比べれば高校生活はそれなりに充実している。 これはイジメじゃない、イジリだ。深く考えることはない、大丈夫。
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