一限目

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―――違う日の美術の時間、出された課題にそれぞれが集中している中、私の席の前に担任が一冊の本を広げた。 男性のヌードデッサンの写真集だ。 「お前、画力がないからこういうのを見て勉強したらどうかと思ってな」 怪訝(けげん)そうな顔をしている私に、担任はそう言った。 「はあ…」 適当に返事をすると私の机の上でパラパラとページを(めく)りはじめた。 「…どうだ?しゃぶりたくなったか?」  担任は私の顔を見ながら、男性モデルの生殖器を差していた太い指を、自分の股間に持っていきニヤニヤしていた。 死ねばいいのに。 そんな日々が続く中、私は美術系の短大に合格した。 一部の書類を書いたのはもちろん担任だ。 複雑な思いもあったが、卒業すれば担任から離れられるし、嫌なことも忘れられる。 きっと大丈夫。
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