三限目

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…わざと聞こえるように言っているのだろう。 だけど嘘じゃない。 アタシはこれから本当にバイトに行くし、明日も朝の九時から五時までシフトを入れてある。 証拠もなく安易に事実ではないと決め付けられるクラスメイトの思考に呆れながら階段を下る。 「私、同中だったけどあの子の家、父親はいないけど地元で有名な金持ちだよ。母親も働いてないらしいけどうちの私立に来てるじゃん。」 「本当は見栄で受験して、必死に授業料を稼いでるとか?」 「うわ、惨め!」 教室ではまだアタシの話をしているのかもしれないし、まったく違う話題に切り替わっているかもしれない。 アタシは昇降口で上履きから革靴に履き替え校門へ向かう。 「まあ私もたまにTVの観覧とかのバイトするけどさ。働くのは進学してからか社会に出てからでいいよね。」 アタシは通学路を少し早足で歩き、駅に向かっていた。
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