一限目

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「…嫌です。」 すくむ足をなんとか動かし、担任から背を向け急いで離れようとした。 その瞬間、担任が車のドアを開け飛び出してきた。 私の腰に両手を回して抱き付く形で後ろに体重をかけ、車中に引きずり込もうとしている。 それまで私は、人はパニックになると頭が真っ白になると思っていた。だけど違った。 『今なにが』『これ終わるのはいつ』『敵わない』『体の自由が』『誰も』『力が』『教師が』 『どうして私が!!!!』 一瞬で頭の中に様々なことが駆け巡る。 手足をバタバタさせ思い切り抵抗したが思うように身動きが取れなかった。 体重も、私と担任ではおおよそでも二倍は違うだろう。 膝を曲げて革靴を履いた足だけを車体に足を引っかけてはいるが、力の差は歴然だった。
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