一限目

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担任は右腕をずらし、私のブレザーの裾を捲り上げブラウスをスカートから引き出した。 さらに私の右の太ももを下から持ち上げ、足を車体から離そうとしている。 汗ばんだ手の平に太ももを鷲掴みにされ余計パニックになった。 引きずり込まれるのも時間の問題だ。 混乱している中で、視界の端にちらりと見えた担任の顔は今までに見たことがないようなものだった。 そこにいるのは鼻息を荒くし、見開いた目の焦点さえ合っていない『()えた(おす)』。 目は血走り、顔中汗だらけでワイシャツも濡れている。 気持ち悪い。気持ちが悪い。お願いだからやめて。声が出ない。誰も来ない。誰も通らない。誰か助けて。
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