一限目

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担任は、中年で常に大量の汗をかいている典型的なメタボ体型のベテラン教師だった。 身長が162センチある私よりも15センチ以上は高く見えた。妻帯者で息子が二人いるらしい。 「やめてください」 何度もそう言った。だけど無駄だった。 【今日は膝を触られた。】 【後ろから抱きつかれた。】 【誰も助けてくれない。】 ブログにはネガティブな記事ばかりが増えていく。   我慢できなくなった私は母親に打ち明けた。 「本当に嫌…。学校に行くのが嫌……」 堪えきれずに大量の涙を流す私を見て、母親は困っていた。 「……おじさんは若い子に触りたいものだからね…。 でもいい意味で考えれば気に入られてるってことじゃないの? 担任の先生はあんたのことを本気で好きなわけじゃないのよ」 的外れな意見ばかりしてくる母親に、その後も相談することはなかった。
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