一限目

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私は高校に入学してからまだ一度も学校を休んだことはなかった。 『休むこと=逃げること』だと思っていたから。 朝から電車の中でうつらうつらしている学生はなかなかいない。 家でほとんど眠ることができない代わりに、電車や授業中に酷い眠気が襲ってくるようになっていた。 ―――恐い先生の授業だから眠らないようにしないと。眠らないように‥。 頭がカクンと落ちた瞬間、バン!!と、間髪入れずに机が響く。 日本史の年配男性教師が、私の机を平手で思いきり叩いたのだ。 「一番前の席で居眠りをするとは、お前いい度胸してるな」 いきなりのことに驚き、額に冷や汗が滲む。 「徹夜で勉強してるようにも見えないがな」 冷めた口調で放たれた台詞に、なにも言葉が出てこない。
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