紫音The No.1

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  こぽ こぽ こぽ こぽ  紫音が、わたしを控え室に置いて、ホールに出ると、薫ちゃんがお茶を入れてくれた。  こんな真っ赤な色のハーブティーなんて初めてだった。  それに、花びらが一枚浮いているなんて……今まで見たこともない。 「まぁ、お飲みなさいな」 「は、はい」  薫ちゃんは、銀のトレイで頬づえをついた。  大きな身体を丸めてしげしげとわたしを眺めてる。  あんまり不思議そうにじっと眺めているので、だいぶ気まずい雰囲気だ。  いたたまれなくて、勧められるままにお茶を飲む……けど。 「ぅあ。すっぱぃ……でも……」  ……おいしい……  良いにおいのお茶が、ずっと重かった心と身体をほっこり暖める。   初めてのお茶の味に驚いていたら、薫ちゃんがにこっと笑った。 「ローズヒップティって言うのよ。  気に入った?」 「はい!」  思わず元気良く答えたら、薫ちゃんがころころと笑う。 「良いお返事。お口に合えば嬉しいわ。  これ、あたしのとっておき、なの。  気に入ったヒトにしか出さないのよ」  薫ちゃんは、片目を瞑った。 「ねぇ、あなたのお名前、聞いていいかしら?」 「えと、守屋 春陽(はるひ)です」 「ふぅん。春陽ちゃん。可愛いお名前ね」  彼は楽しそうに言うと……少しだけ真面目な顔になった。  
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