紫音The No.1

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「ヒトにはそれぞれ事情ってのがあるから、いつもは、あんまり気にしないんだけど……ちょっとだけ、訊いて良いかな?」 「あ、はい」  うん、ごめんね。  と、薫ちゃんはもう一度断って、訊きにくそうに話す。 「春陽ちゃんって、紫音ちゃんの新しい彼女?」 「いえ! とんでもない! タダの……」  ……タダの生徒です!  と言いかけて、口を閉じる。  内緒、内緒。 「……タダのウリ、の子?」 「え……あ……」  薫ちゃんに言われて思いだした。  ……そう、だった……  わたし……  紫音に百万円で買われた……  ウリの……  分厚く膨らんだポケットが、悲しい。  わたしと紫音の関係は。  先生と生徒でさえなかったんだ。    
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