6504人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしの表情(かお)がよほど……最悪だったらしい。
薫ちゃんは、慌てたように手を振った。
「ごめんなさい、あたし、別にウリが悪いって責めるつもりは無いのよ。
ウチに来るお客さまの中にだって、ウリの子いるし。
あたし達のお仕事だって、時には自分をウリに出す……お金を貰って女のヒトを抱いたり……する事もあるし。
ただ……」
薫ちゃんは、そっと肩をすくめた。
「紫音ちゃんって、今まで一度も……お金の絡まないセックスってしたって話、訊いた事無いから」
「え……え?」
セ……セックス、なんていう過激な言葉をさらりと言われて、わたしは、薫ちゃんが言っている事が判らなかった。
「それって……どういう……?」
「紫音ちゃん。
自分をウリに出す時にしか、女のヒトを抱かないの。
しかも、自分をすッごく高く売っててね。
気に入った相手でも最低、二、三十万。
嫌いな相手になると、一晩で百万位は平気で請求するのよ?
なのに、ほとんど毎晩、紫音ちゃんには、お客がつくのよねぇ……」
薫ちゃんは、感心したように、しみじみと言った。
な、なにそれ。
信じられない。
……ホントにわたしの知らない世界の話だった。
「だから、紫音ちゃんが自分でお金を出して、女の子を買った、なんてちょっと……
……信じられなくって」
最初のコメントを投稿しよう!