紫音The No.1

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   ……どきん  心臓が。  心が……不用意に撥ねる。  わたし……初めて、本物のキスシーンを見たんだ。  映画でも、ドラマでも……もちろん、マンガやゲームでもない。  本当のKISSを。  どきん……  何で。  目が、離せられなかったんだろう?  紫音と、見ず知らずの女のヒトが、遠くでただ、唇と唇を重ねただけなのに。  なのに。  ……どきどきする。  彼女の手から、とさとさとさ……と、茎だけになった薔薇が滑り落ちた。  そして。  彼女は、気持ち良さげに目を閉じて……  ……紫音の広い背中に隠れて見えなくなった。  わたしは目が離せなかった。  その……オトナのキスに……  ……ちくん  やがて、かすかに。  本当にかすかに、わたしの胸が痛む。    ……これは、なに?  ……きゅうん  胸が、変…………?  
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