紫音The No.1

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「なななな……何ってべ、別に……」  ホールの照明でも、紫がかった不思議な色に見える瞳に驚いて、言葉が詰まる。  わたしの様子に、紫音は、ため息をついて、肩をすくめた。 「……行くぞ」 「は、はいっ!」  紫音に、引っ張られるようにして、ホールから出て行く時。  紫音とキスをしていたお姉さんを一瞬、見かけた。  彼女は。  満足そうに微笑んでいた。  豪華な席で、薫ちゃんや、他のキレイなホスト達に囲まれて。  ……でも。  時折、紫音の姿をちらちらと目で追っているのが見えた。  悲しそうに。  それは、まるで。  飼い主に置いていかれてしまった、子犬のように……  そして。  紫音の側にいた、わたしと目が合ったとたん。  その、悲しげだった目が、急に険しくなった。  わたしが。  わたしみたいなのが、紫音といるのが気に食わないんだ……ね。  ……あたりまえ、か。  ごめんなさいっ……!  わたし、紫音と、何の関係もないから……許して、ね?     
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