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その瞬間、とてつもない威圧感がアサギを襲った。闇の最果てにいる何かがこちらを見ている、ような気がする。アサギはとにかく逃げたい気持ちになり一歩退くと、後ろから光を感じた。振り向くとそこには眩く光る穴がある。それを見た途端、アサギは走りだした。それに続くように何かがこちらに走り出してくる。
―きひゃひゃひゃひゃひゃ!アヒヒ!アヒ!きひゃひゃひゃひゃひゃ!
女の子の可愛らしくも狂ったような笑い声がとてつもなく恐ろしい。逃げろ、逃げろ、とアサギの全身全霊が叫ぶ。
「もう少しっ!」
あと少し。意を決してアサギは光の穴に飛び込んだ。闇が払拭された、真っ白な世界に身を投げたアサギ。するとアサギの体は急に重力を受け、猛スピードで落下する。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
―ウサギさん?ウサギさん?
女の子の声だ。それが耳元で言った。
―あなたはどこへ行くの?
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