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「なあ、欽二」
「どうした、幸助」
「お前、星に興味あるか?」
眼鏡の男は、真面目と冗談が半々ずつ混じった視線を友に投げた。しかし返事は冷ややかだ。
「俺がそんなロマンチストに見えるのか?」
幸助はだよなあ、と言いながら片膝を立てた。
「いやさ、ここを抜けた後どうすっかなって考えたら、三人でどっか別のサークル……天文研究会入るのも悪くないなって」
「それ、私に合わせてくれてるの?」
美奈が不思議そうに問うと、幸助は肯定をもって返した。
「いいよそんな……天文研究会に入るって決めた訳じゃないし、わざわざ一緒じゃなくても」
「んじゃ、何かアテが?」
美奈は首を振ってからこれから探すつもりだけど、と答えた。
それは幸助と欽二も同じだった。さらには、彼らにとって、このゲーム研究会以上に魅力的に映るサークルがなかったのもまた事実なのである。誰も敢えて口にしたりはしないが、その腹の中では、別のサークルに入ってもここの二の舞になりそうな予感がしているのだった。
「……サッカーとか野球とか、オーソドックスな方向で探してみるか?」
そう提案したのは眼鏡の青年だった。言った相手はもちろん欽二だ。彼らの気質から言えば、部屋に引きこもる活動よりもそちらの方が性に合っている。しかしそういうのを選ばなかった理由は二つある。
一つは運動部はハードだという偏見、もう一つはスポーツ選手を排出している大学であることからその質がうかがい知れ、スポーツに関してはほとんど素人である彼らにはかえって居心地が悪いだけになりそうな気がしたことである。
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