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「それはこれから決める……別に何でもいいんだよ、楽しめれば。仰々しい目的も名前も要らないと俺は思う」
友人であることに目的や理由は必要ない。幸助はそんな意味で言ったのだ。しかし、これに美奈が反駁する。
「私たちがつまらないって言って抜けようとしてるこのサークルにだって目的と名前があるのに、それがなかったらもっとつまらなくなると思わない? それに組織には――」
「あー、分かったよ、ごめん。でもまず何するか決めないと。欽二、何したい?」
「もっと人数があればスポーツでもやりたいと言えるんだがな……」
そもそも発足の理由が、つまらないと感じたサークルから抜けたためである。そんな消極的な理由から出来た集まりになど、賛同してくれる人がどれ程いるのか。彼らの知り合いに参加してくれそうな人に心当たりもなかったのだ。
「……スポーツサークルはやめて欲しいな」
いつの間にかその細く白い脚を正面に投げ出していた美奈が、そんな事を言った。理由を尋ねられると、彼女は慌てふためいて、
「だってほら、道具とか場所を学校から借りようとすると手続きとかスケジュールとかで大変だし、自力で何とかしようとするとお金かかるし」
と説明してから最後に「私、激しい運動できないし」と付け加えた。
彼女は頬を赤くして、二人を上目遣いで見た。それからスカートの中を見られないように注意しながら、脚を折りたたんで両膝を抱える。
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