53人が本棚に入れています
本棚に追加
「学科どこ?」
幸助はまず、そんな差し障りのない話題を切り出した。
「……日文。えっと……幸助君、は?」
「史学。っていっても、まだ高校の延長みたいな事しかやってないんだけど」
「ふーん」
話が続かない。互いに興味がないからだろう。幸助は次の話題を探す。
「高校ん時は何してた?」
「高校は……私あまり行ってなかったんだよね。病気がちだったから、部活とか委員会とかもやってなかったし。でも良い友達が出来たから楽しかったよ」
「へえ、どんな?」
「テストの度に家でお泊まりの勉強会開いてくれる子でね。それが楽しくって、テストよりもそっちがメインって感じで。進級してクラスも勉強する科目も別々になっても集まってやってたんだから、変な話だよね」
「変じゃないだろ。そんな状態でも泊まりで勉強会開くって、良い友達じゃないか」
つまらなそうにしていた美奈だが、友達の話をすると少し表情が和らいだ。それに気を良くしたのか、二人の会話も弾んでいく。
「俺の方はさ、中学ん時からの親友がいて……今日もここに来てるんだけど、そういやさっきから見ないな。どこ行ったんだ?」
「……あの筋肉質で背の高い?」
「そうそう……って、良く覚えてるな」
「だって集会の時はいつも一緒にいるから。結構目立つ組み合わせだからね」
幸助はそれに驚きを隠せなかった。彼は自分たちが目立つ理由を美奈に問いただした。
「目立つっていうより、印象に残りやすいっていうのかな。見たまんまインテリ系と、見たまんまガテン系。なんか、不思議な感じ」
幸助は笑ったような困ったような、そんな複雑な表情になる。今まで何とも思ったことはなかったが、こうして彼女に言われてみると確かに、自分とその親友・欽二という組み合わせは不釣合いのような気がした。
「まあ、確かに正反対だな、俺ら。でも昔から不思議と馬が合うんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!