第三章

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そこかい。裕の視線はまだすばるに向けられたままで頬を掴んだ裕の手はそろりと動くとすばるの肌を服の上からなぞってやがて胸元を撫で回した。 「!、やめろやっ…!」 「ふは、冗談冗談~!女みたいな顔してんなお前」 確かに誰がどう見ても女々しい顔をしたすばるは体も平均的な女の子よりか細く身長も低く、まるで可愛らしい女の子を連想させる。 そんなすばるの容姿は前のイメージを全て拭い、クラスの連中が釘付けになった。裕に続いて野次馬の如くクラスの男女がすばるの間に集まってくる。 「し、渋谷っ!?うっそ、かっこええやんかぁっ!!」 「そっちの方が全然あってるで!」 「ただの根暗かと思っとった!裕と仲良いん!?俺ともツルもうや!」 「あたしも仲良うしてやぁ!」 「彼女いるん~っ!?」 一気に舞う連中らに俺が入る間はなく、少し嫉妬した。 すばるは戸惑ったようにまた苦笑い。こうなるのがわかってて髪をおろしてた…? 「……えーか、お前らぁっ!すばるはー、俺と付き合ってんねん!取ったら承知せえへんぞぉ!」 すばるを守ろうと意地で放った嘘にクラスメイトの視線が一瞬にして俺に集まる。 青ざめる生徒や面白がる生徒、残念そうな表情を見せる生徒もいればどうでも良さそうにする生徒もいる。 すばるは何かを察して俺の隣に足を運んだ。 (…どういうことや) (…仕方なかったんや) そんな会話が目で交わされる。 、
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