第三章

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そうは言ってもみんなの好奇心はおさまらず、今日の休み時間は1日中すばるの席に群れが出来ていた。 「すばるくんってさっ、頭ええよねえ!あたし数学で分からないところ沢山あるんよ。教えてほしいなぁ。」 「いつでも教えたるよ」 「ほんま!?きゃー!優しい!」 「じゃ、じゃあ私も教えてくれる?」 「おん。」 「ねぇー、どうしてそんなにつまらなそうなん?笑ってよぉ」 すばるの顔が引きつる。すばるに着いていようにも他のクラスの俺を取り巻く女子が離そうとしてくれない。 あいつら…いきなり笑えと言われても笑えるわけないやろが。笑えたとしてもそれはとんだ偽物や。 「ちょっとぉー、男子面白いことしなさいよ!すばるがつまらなそうー!」 がやがやと言い立てる女子の小さい群れに突如ガタンっと音を立てて、すばるが席を立った。そのまま俯いてすばるは走って教室を出ていく。 「すばるくんっ!?どこ行くの?!!」 それを見るや否や追いかけようとするのは俺に限らず女子達もで、でも渡り廊下を覗くとすばるの姿は既に見えなかった。 「やばい」そう思った瞬間だった。捕まれていた腕を振り払って、俺はすばるの形跡を必死になって追った。 、
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