第一章

6/16
前へ
/39ページ
次へ
「アンタこそ。」 「俺ぇ?!」 …声裏返ってしもた… 「………」 「…俺は、その、傘持ってきてへんくて……明日テストやんか?俺あほやし、ただでさえ点数悪いんに、風邪なんか引いたらテストさえ受けれへんくなるやろ?やから、雨止むん待っててんけど、…ほら、…この通り、帰るにも帰れへんくて…」 「…あっそ。」 …あっそ?そんだけ??あ!!あかん行ってまいそう… 「すばるは!?」 必死に引き止めようとしたら自然の欠片もないほど、わざとらしくなってもうた。 「…アンタ俺の何なの?」 「?」 「別にどう呼んでも構わないけど、そのせいで皆に嫌われても知らへんから。」 「…すばるはどうして、目を隠すの?」 「……」 「……?」 「…きたない。」 「?」 「汚ないから。世界が、汚ないから。」 「どういう……」 「絶望するぐらいなら見なきゃいい。見なきゃ傷つかない。」 「…ちょっと、待っ……」 すばるがどんどん離れてく… わけわからないその不思議な言葉はやけに重くて、髪の隙間から少しだけ見えた瞳がどこか悲しそうだった。 放っておいてと言うくせにその目は「構ってほしい」って言ってるようで…… 「すばる!待って!!」 「…何?」 「ぁ…う、…か、雷!」 「……」 「こ、怖くないか!?家まで送ろうか?!」 「……」 「…ぁ…あっと、その…」 「傘。」 「え?」 小さく開いた口の先には折りたたみの黒い傘が一つ。俺の方に差し出すから手が勝手に動いて、気付いたらその傘を握りしめていた。 「貸す。」 「え?あかんよ!すばるが濡れてまうやろ?!」 「俺は下にもう一本あるからええ。」 「………おーきに」 ×

最初のコメントを投稿しよう!

162人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>