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「アンタこそ。」
「俺ぇ?!」
…声裏返ってしもた…
「………」
「…俺は、その、傘持ってきてへんくて……明日テストやんか?俺あほやし、ただでさえ点数悪いんに、風邪なんか引いたらテストさえ受けれへんくなるやろ?やから、雨止むん待っててんけど、…ほら、…この通り、帰るにも帰れへんくて…」
「…あっそ。」
…あっそ?そんだけ??あ!!あかん行ってまいそう…
「すばるは!?」
必死に引き止めようとしたら自然の欠片もないほど、わざとらしくなってもうた。
「…アンタ俺の何なの?」
「?」
「別にどう呼んでも構わないけど、そのせいで皆に嫌われても知らへんから。」
「…すばるはどうして、目を隠すの?」
「……」
「……?」
「…きたない。」
「?」
「汚ないから。世界が、汚ないから。」
「どういう……」
「絶望するぐらいなら見なきゃいい。見なきゃ傷つかない。」
「…ちょっと、待っ……」
すばるがどんどん離れてく…
わけわからないその不思議な言葉はやけに重くて、髪の隙間から少しだけ見えた瞳がどこか悲しそうだった。
放っておいてと言うくせにその目は「構ってほしい」って言ってるようで……
「すばる!待って!!」
「…何?」
「ぁ…う、…か、雷!」
「……」
「こ、怖くないか!?家まで送ろうか?!」
「……」
「…ぁ…あっと、その…」
「傘。」
「え?」
小さく開いた口の先には折りたたみの黒い傘が一つ。俺の方に差し出すから手が勝手に動いて、気付いたらその傘を握りしめていた。
「貸す。」
「え?あかんよ!すばるが濡れてまうやろ?!」
「俺は下にもう一本あるからええ。」
「………おーきに」
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