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「クソッ!逃がしたか…オイ!お前はあっちを捜せ!俺は向こうを捜す!」
「分かった!見つけたら通信魔法で知らせる!」
そう言うと、二人の男は二手に別れて走り出した。
男達の恰好は同じで、この炎天下の中暑そうな黒のローブ姿で、フードを顔が隠れるほど深く被っている。
(なんとか撒けたかな?)
その男二人の姿が見えなくなったのを確認してから、少女は隠れていた樽から出る。
白銀の髪が日の光を浴びてキラキラと輝き、整った容姿を更に美しく魅せていた。
(とにかく人が多い所に行こう!…あっちの方から声が聞こえる。)
少女の少し大き目な黒の瞳が、薄暗い路地の先から見える大通りを捉える。
その瞳はまるで、子供が何にでも興味を持つように、キラキラと輝いているように見える。
(あんなに人が沢山!それにあの小さな家は何だろう?果物とかが沢山置いてある!)
少女は吸い込まれるように、人混みの中に姿を消した。
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