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「ヒデオ、元気?」
青柳は鋭い視線をあたしに向けた。
青柳の視線は、いつもあたしに一瞬の緊張を与える。
ヒデオの強い瞳とはまた違うからなのかも。
「相変わらずよ。連絡取ってないの?」
「あー」
青柳はクッ、と笑いを噛み殺す。
その仕種が不可解で、あたしはマドカを見た。
「ダイスケ、何?」
マドカが青柳につられて笑う。
この連携で、二人の仲の良さがうかがえた。
青柳は紫煙をくゆらせながらマドカの顔を見ると、「いや……」とかぶりを振る。
そして、さっきのより少し柔らかくなった瞳で、もう一度あたしを見た。
「翠川にばっか構ってんだろ。メールの返事もしやがらねえから、この間痺れ切らして電話したら『悪い、マナミといた』って」
「へ?」
「そうそ。たまにはオトコ同士で飲みとかやりたいんだけどね」
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