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マドカは、今ジンが言ってたことなど忘れたかのような様子で、現れた青柳に手を振る。
「……て、ダイじゃん。もう来たの」
頭を殴られたジンは、青柳を振り返ると不満そうに口を尖らせる。
「マドカに変なこと教えてんじゃねえよ。バカが」
青柳はジンの隣に腰を下ろすと、あたしに「久しぶり」と言った。
ニコリともしないで、相変わらず愛想のない男だ。
同じクラスだった中学時代、青柳はおちゃらけた少年という印象だった。
それが進路が別になっていた間に、すっかり落ち着いた大人の仲間入りをして、今の青柳は苦みのはしったイイオトコ。
甘ーいマドカと並べると、絶妙なバランスで収まる不思議。
青柳は明るい色の前髪を揺らしながらジンの前の灰皿を移動させると、煙草をくわえた。
そのあまりのイケメンぶりは、マドカの恋人でなければ、じっと見つめてしまいそう。
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