3.機微

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   ニヤつくジンの視線を回避して、あたしはパチパチ、とまばたきをする。  そりゃ、毎日会ってるけどさ。 「……毎日なんだろ? お気の毒に」  また含み笑いをしながら、青柳があたしを見る。 「何? 何なの?」 「いや、ヒデオが絶倫って話」 「だ、ダイスケ!」  マドカが何言ってんの、と青柳の手を叩く。  ニヤリと笑った青柳の顔に、中学時代のヤツの面影を見つけ、何となくホッとした。 「オトコ同士って、そんなことまで話すもんなの?」  下ネタ平気なあたしは、特に動揺することなく首を傾げる。  すると、ジンが笑いながら「いやいや」とかぶりを振った。 「そんなことがあったって話」 「ふうん……?」 「ま、昔の話だけどな」  話を続けそうなジンを窘めると、青柳はあたしから視線を外し、しれっとした顔でまた煙草をくわえる。 .
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