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あたしと別れたあとのヒデオが、節操ナシなことをしていたのは知ってる。
それがあたしのせいだってことも。
それについての過ぎた罪悪感とか責任感とか、ヒデオを責める気持ちなんてないけど──。
あたしが時々、酢を飲んだように苦しくなってることは、誰も知らない。
言葉や態度とは違う、とろけるように甘いヒデオの唇や熱い舌。
あたしを翻弄させながら慈しんでくれる指先とか、手とか。
行きずりで当たり前にそれを味わった女が、一体何人いるんだろうって。
今すれ違った女がもしかしたら……なんて考えたら、胃を吐き出しても足りないくらい、身体の中全部が苦くなる。
リュータローとの刹那的な戯れと引き換えにしたものがどれほどのものだったかなんて、そんなのあたしが一番よく判っていて。
ヒデオといることの幸せを噛み締める夜の分だけ、あたしは過去に復讐され続けてるんだ。
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