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「え!? お、お客様!?」
驚いた店員が、大きなヒデオを見上げる。
「すいません、帰ります」
「あの、まだお飲みものしか運んでないんですが……」
「俺の都合なんで、すいません。払いますから伝票このままでいいです」
軽く押し問答をするヒデオと店員。
あたしはそれに取り合う気になれず、携帯を見ながら茫然とした。
どうすんだ、これ。
「わっ、お客様……! す、すぐお取りしますね!」
訝しんでボックスを覗き込んできた他の店員が、ビールに沈んでいる携帯を見て驚き、慌ててジョッキを抱えて行った。
あの携帯は、残念ながら防水じゃない。
本体のデータどころか、バックアップも使い物にならないかも。
サナ、マドカやジン達と連絡取れないじゃん。
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