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「………………」
「………………」
互いに無言の時間が続く。
エンジンも止まっているので完全に無音だ。
「さて、歩くか。あ、ケータイとかは置いてけよ?」
「待たんかいっ!」
言うだけ言ってご機嫌にキーを抜いてドアを開こうとする色々と残念な父親の肩を掴んで制止させる。
旅立ちを阻止された智明は不機嫌そうにしているが、隆二にとってそんな事は関係なかった。
「エンストかよっ!?」
「違うな隆二。間違っているぞ」
取り乱す隆二と対照的に智明は至極冷静だ。
いくら残念と言っても一応は大人の貫禄というものがあるらしい。
「エンストじゃない、止まったんだ」
「一緒じゃん!!」
冷静でも残念な事には変わりないが。
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