手紙

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7月某日-。 津田壱(ツダイチ)は愛知県にある祖母の家に遊びに来ていた。 「おばあちゃーん。この蔵って入れるの?」 家のすぐ横にある大きな蔵を前にして、壱は縁側に座っている祖母に問いかけた。 「入れるけど、ここ数年入ってないから埃まみれかもねぇ。いっちゃん入るなら暗いで気をつけなよ。」 「はーい。」 歴史好きの壱は、先祖が武士だったという津田家の祖母の話を聞くのが好きで、毎年夏休みには祖母の家に来るのが恒例になっていた。 祖母から蔵には先祖代々伝わる数々の品があると聞き、蔵の中に入ってみたくなったのだ。 蔵の入り口を開けようとした時、携帯の着信音が鳴った。 ディスプレイには幼なじみで恋人の佐久間翔(サクマカケル)の名前。 「もしもし、翔?」 「あ、壱?お前ばあちゃん家に来てるんだろ?今から俺も行っていい?」 幼なじみの翔は、壱の祖母に幼い頃から懐いている。二人が歴史好きになったのもこの祖母の影響だ。 「もちろんいいよ~。蔵に入ることにしたから、翔も来たら蔵に来てね」 「はいよ」 携帯の着信をきった壱は嬉しそうに微笑んだ。 蔵の戸を開けてみると、祖母の言ったとおり薄暗く、壱は携帯電話の明かりを頼りに奥に入っていった。

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