第二章 O型渡邊の自爆退社

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独り残された渡邊のプライドは一気に加速して急上昇である。 「冗談じゃないわよ! 私が店を辞めないと思っているのでしょうけれど、本気で店を辞めたらどうなるか思いしらせてやらないと!!」 O型は意見おおらかに見えるが一度怒らすと一気にカッーと熱くなる体質である。 まさしく渡邊は典型的なO型女である。 この日、パートを終了してから渡邊は知人から聞いた募集しているパン屋に電話を掛けて面接予定を翌日にとりつけた。 「知人の紹介」ではなく、たまたま知人が買い物途中に見つけたパン屋の募集を渡邊に教えただけである。 そこをプライド高き渡邊は、わんきょくにデリカの仲間へ自慢げに話したのである。 翌日に気合十分の渡邊はパン屋で面接をして土日関係なくフリーで働ける状況から簡単に採用となった。 「してやったり!」の渡邊である。 面接をしたパン屋の店長から勤務日を聞かれると渡邊は女優顔負けの表現力で答えた。 「はい、私としては今すぐにでも働きたいのですが、現在の仕事の引継ぎをしなくてはならなく来月から勤務ではマズイでしょうか?」 遠回しに自分はサブチーフのような口ぶりで困ったように答えた。 「そうですか。待ちますので大丈夫ですよ」パン屋の店長はすっかり渡邊マジックに騙されるように笑顔で信用して答えた。
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