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時給交渉をして2日で行動を起こす渡邊は、3日後にはレジチーフへ退職を告げた。
若き気弱なレジチーフは少し困ったような顔つきで驚いている。
その姿を見て渡邊は自分自身の存在を再確認するのである。
「ふふっ 私が辞めたら絶対困ることは最初から百も承知だもの。
チーフは店長に伝えて店長は私を絶対に止めるに間違いないわそして辞めないように時給を上げる。」
渡邊は心中の中、呟き鼻でクスッと笑う。
どうしてそんなにも自信過剰になれるのか不思議である。
涼しい顔の渡邊は今や遅しと店長の困った顔を待ち続けているが数日が過ぎても店長が渡邊に言葉をかけることもない。
むしろ、以前より店長は明るい顔でくだらない日常的な話題で終わる。
「チーフから聞いてないのかしら?」
渡邊はレジチーフに何気なく訪ねた。
「私が退職すること店長は知っている?」
レジチーフは少し動揺したように答えた。
「あっ、はい、伝えておきましたので」
「そ、そう・・」
渡邊は気が抜けたように返事を返した。
レジチーフは渡邊が退職を告げた日に困ったように、すぐ店長に報告をするチーフ。
「実は渡邊さんが今月で退職したいと言われたのですが・・・」
しかし店長は大きな溜息をこぼして疲れたようにチーフに伝えた。
「本人が退職したいと伝えているなら退職してもらった方がいいよ。
もう渡邊さんの態度にも手を焼いていたし、実際問題、
他にも渡邊さんの代わりはいるだろう?
飯田さんもカウンターの仕事をしたいみたいだし・・」
渡邊はトラブルメーカーとなりつつある。
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