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雲一つなく晴れ渡った清々しい朝だ。
芽吹きの季節が終わり
新緑の季節が並々ならぬ生命力と共に訪れていた。
私は教室へ向かって
廊下をゆったりと歩いている。
廊下にも窓から入ってきた緑の薫りが漂っていて、
私の鼻孔を優しく
くすぐった。
ふと立ち止まり、
窓へと顔を向ける。
窓の外に広がるどこまでも青一色の空を、
二つの小さな影が横切った。
半ば反射的に
私の視線はその影を追う。
コバルト色の小鳥が
二羽、
じゃれあうように
小さな弧を描きながら
飛んでいるのが
瞳に映った。
私はその微笑ましい光景を見て、
自然と目を細める。
『今日は何か良いことがありそうな気がする…… 』
何故かはわからないが、
私の胸にそんなときめく思いが湧き起こった。
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